国内のQRコード決済の市場拡大が続いているのだそうで、キャッシュレス推進協議会の利用動向調査によれば、2021年の取扱高は前年比7割増の7兆3487億円と過去最高を更新し、交通系ICカード「Suica」などのICチップを利用したプリペイド型の電子マネーを初めて上回ったようで、少額キャッシュレス決済の主役に躍り出てきたようですね。
QRコード決済は、アプリでバーコードを表示するかQRコードを読み取って代金を決済する方法で、スマートフォン決済大手PayPayやNTTドコモの「d払い」などQRコード決済を手がける主要16社のデータを集計したところ、決済件数は48億回と前年比8割増え、その中でもPayPayの取扱高が4兆9000億円と7割も増え、市場の伸びをけん引しているようです。
決済手段としては、80兆円規模のクレジットカードにははるかに及ばないものの、プリペイド型の電子マネー(約6兆円)やデビットカード(約2兆8000億円)を上回っていて、決済手段のひとつとして定着しつつありますね。
高いハードル
とはいえ、キャッシュレス決済の主力がいまだにクレジットカードであることに変わりなく、日本クレジット協会によれば、21年の市場規模(信用供与額)は74兆円から81兆円へと増加しており、この要因は楽天カードの躍進が続き、21年の取扱高は25%増の14兆5000億円と市場シェアの約2割に達しているのだとか。
新型コロナウイルスを機にオンラインショッピングの利用が増え、ECでのカード利用が進んでいるようで、政府は25年までにキャッシュレス比率を16年の2割から4割程度に倍増させる目標を掲げています。
主要各国では4~6割程度がキャッシュレス決済となっているようで、経済産業省の調べでは20年時点での日本での利用は約3割まで上昇しているのだそうで、これは前倒しで達成する可能性も出てきているようで、政府は将来的に世界最高水準の8割を目指しています。
QRコードは、もともと1994年にデンソー子会社のデンソーウェーブが開発した仕組みで、中国のアリペイとウィーチャットペイの参入で市場が広がり、韓国やインドなどアジアを中心に発展してきており、店舗は専用機器を購入しなくてもQRコードを印刷した紙を店頭に張るだけで導入できるので、クレカより導入コストが安く、屋台や小規模商店でも使える手軽さが新興国での発展につながっているのだとか。
独調査会社スタティスタによると2020年のQRコードの取引額は中国や日本などアジアが2兆ドルを超え、シェアは96%を占めているようです。
反面、欧米ではデビットカードやクレジットカードがすでに普及していることから、QRコード決済の存在感は薄く、米ペイパルや米ウォルマートがQRコード決済を導入するなど利用は少しずつ広がっているようで、同様に南米やアフリカでも利用が進んでおり、今後グローバルで決済手段の一つとして定着する可能性があるようですね。