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ライフプランを20代で決めた人が、30代で後悔している本当の理由

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早いうちからライフプランを立てるべき

この言葉を聞いて、すっきりした人はどれくらいいるだろうか。

むしろ、どこか胸がつかえるような感覚を覚えた人のほうが多いんじゃないでしょうか?

正しいとはわかっているし、合理的だとも思う。

でも、なぜか素直にうなずけない。

「なんで今の自分が、10年後・20年後の自分の人生を決めなきゃいけないんだろう」

そういう、うまく言語化できないモヤモヤ。その正体を、少し掘り下げてみたい。

「将来に備えよ」は、もはや空気になっている

人生100年時代という言葉が定着し、老後2000万円問題が話題になり、NISAや保険の見直しを促す広告があふれている。

「将来に備えよ」というメッセージは、もはや空気のように漂っていて、ライフプランを早く立てることは、今や「大人の常識」として語られるようになっています。

さらに最近は、キャリアの文脈でも同じ圧力があって「5年後の自分をイメージしてください」という就活の定番質問に始まり、副業・スキルアップ・転職市場での価値・・・将来の自分を「設計」することへのプレッシャーは、あらゆる方向から押し寄せています。

早く決めるほど、有利になる——それは本当か

一般的には、20代のうちに結婚・住宅・老後という「三大ライフイベント」を見据えて計画を立てると、無駄な出費が減り、資産形成が加速する、と言われています。

早ければ早いほど複利の恩恵を受けられ、選択肢も増える。

将来に「備えている感」が、日々の安心感にもつながる。それは確かに一理ある。

ファイナンシャルプランナーに相談した経験のある人なら、こんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。

老後に必要な資金から逆算して、今から月いくら積み立てればいいか計算できます

数字で示されると、確かに安心するし、計画があれば、迷いが減る気がする。

計画は「指針」のはずが、いつのまにか「レール」に

でも、少し視点を変えてみましょう。

「早くライフプランを立てる」ということは、「まだ知らない自分の未来を、今の自分が決める」ということでもある。

20代の自分が思い描く「理想の40代」が、本当に40代の自分が望むものかどうか、誰にもわからない。

計画を立てること自体が問題ではない。

問題なのは、「立てた計画に縛られること」で、早く決めるほど、そこから外れることへの罪悪感も早く生まれます。

「計画から外れた=失敗した」という図式が、無意識のうちに刷り込まれていく。

そもそも、人生の「正解」は経験してみないとわからない。

結婚してみて初めて気づくこと、子どもが生まれて変わる価値観、仕事で挫折して見えてくるもの・・・。

そういう「想定外の出来事」が、人の人生観を根本から変えることのほうが、ずっと多い。ライフプランが「地図」なら、人生は「地図のない旅」に近い。

「計画を守ること」が目的になった男の話

知人に、28歳で綿密なライフプランを立てた人がいます。

35歳で結婚、37歳でマンション購入、40歳で管理職へ。

そう決めて、実際、35歳で結婚し、37歳でローンを組んだところまでは計画どおりでした。

でも38歳のとき、彼は「本当は海外で働いてみたかった」とこぼした。

計画が邪魔をして、その選択肢を「なかったこと」にしていたのだと。

転職のチャンスが来たとき、「ローンもあるし、計画と違う」と自分に言い聞かせて断ったのですが、後悔したのは、転職を選ばなかったことではなく、「計画を守ること」が目的になっていた自分に気づいた瞬間だったのだそうです。

計画を立てた意味がなくなった、という話ではなく、ただ、計画が「指針」ではなく「レール」になっていた。

それが問題でした。

「計画を手放す勇気」が、いちばんのライフプランかもしれない

ライフプランを立てるなとは言いません。

貯蓄の目標を持つことも、将来を見据えて動くことも、大切です。

ただ、それが「人生の設計図」ではなく「今の自分の仮説」くらいの温度感で受け止めておくべき。

仮説だから、更新していいし、途中で捨てても恥ずかしくないし、むしろ、何度も書き直せるほうが、豊かな人生の証拠かもしれません。

早く決めることよりも、途中で問い直せる自分を持っていること。

「計画を守る力」より「計画を手放す勇気」のほうが、長い人生では効いてくることがある。

それがいちばんのライフプランかもしれない・・・。


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