公的年金の積立金が、2025年度の1年間で42兆5136億円増え、年度末の総額は302兆5893億円となり、過去最高を更新しています。
42兆円という金額を見ると、受給者の年金も大幅に増えそうに思ってしまいがちですが、、2026年度の国民年金満額は前年度から月1300円増の7万608円。
積立金が大幅に増えた年であっても、毎月の年金額が同じ割合で増えるわけではないんです。
現在の年金は、現在の保険料から支払われる
日本の公的年金は、現役世代が納める保険料を、その時点の受給者への支払いに使う方式が基本となっていて、根本的に自分が払った保険料を自分名義の口座で運用し、老後に取り崩す仕組みというわけではありません。
積立金は、少子高齢化によって保険料収入と給付額の差が広がる時期に使うもので、厚生労働省は、元本と運用収入をおおむね100年かけて活用する計画を示しています。
長期的な給付財源に占める積立金の割合も約1割で、残りの多くは将来の保険料収入や国庫負担で賄われます。
2025年度にGPIFが運用した資産は年度末で約293兆6000億円。
年間収益率は16.47%、収益額は約41兆4000億円と好成績ではあるのですが、この利益を翌年度の受給者へまとめて配るという設計ではないのです。
年金額は、物価や賃金の変化、加入者数の減少などを反映する改定ルールで決まるもので、株価や為替によって運用益が増えたからといって、その年だけ給付額を急増させれば、市場が下落した年には給付額を急減させることになってしまうので、毎月の生活費となる年金を、そのような動きへ直接連動させるのは危険とも言えます。
「過去最高」でも、一年だけでは判断できない
2025年度の収益は、GPIFの運用資産額の約4分の1に相当する規模となっていて、これは保有する株式や債券の時価が上がった分も含まれていて、すべてが現金として確定し、自由に使える状態になったわけではないのです。
市場環境が変われば、翌年度に評価額が減る可能性もあり、運用結果を見るなら、一年間の増減より、賃金の伸びを上回る収益を長期間確保できているかを確認する必要があります。
42兆5136億円の増加は、年金財政にとって好材料ではあるとはいえ、現在の受給額を42兆円分増やせるという単純な話でもなく、数字の見え方を変えるのは、その資金を来年使うのか、100年に分けて使うのかという時間の違いとなっているんです。
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