気に入った賃貸物件を見つけ、部屋を押さえるために支払う「申込金」や「予約金」というものがあります。
数万円程度の現金を預けたあとで、別の良い物件が見つかったり事情が変わったりして申込みを取りやめたいとき、不動産業者から「一度払った予約金は返せない」「すでに審査や書類作成を進めてしまった」と断られて困ってしまうケースがあるようですね。
手付金のような扱いで没収されてしまうのではないかと思われがちですが、これについては契約締結前のキャンセルであれば、支払った名目にかかわらず全額が返還されるんです。
不動産賃貸における契約の成立時期は、原則として「賃貸借契約書」への署名押印や契約締結の合意がなされた時点で、入居申込書に記入したり、重要事項説明を受けたり、入居審査を通過した段階であっても、賃貸借契約書を交わしていなければ法律上は「契約成立前」に当たります。
契約が成立していない段階で受領されるお金は、名称が「申込証拠金」「予約金」「手付金」などであっても、すべて一時的な「預り金」として扱われ、契約締結前であれば違約金やペナルティが発生する余地はなく、申込みを撤回した際には全額返還を受ける権利があります。
不動産業者が「手付金として処理したから返還できない」「すでに審査や書類作成の手間がかかっているため事務手数料として相殺する」といった理由で返金を拒むことは、宅地建物取引業法で明確に禁止されています。
国土交通省の運用指針(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)でも、申込み撤回時に預り金の返還を拒むことを禁じる規定(施行規則第16条の12第2号)に基づき、「いかなる理由があっても一旦返還すべきである」と定められています。
業者側の都合や独自のルールで返金を拒否すること自体が、行政処分や指導の対象となる違法行為です。
もし不動産業者から預り金の返還を拒まれた場合は、手元にある申込金の領収書や受領書、申込書の控えを確認した上で、契約成立前であることを伝えましょう。
その際、宅地建物取引業法(第47条の2第3項など)および国土交通省のガイドラインにおいて契約前の返還拒否が禁止されている旨を指摘することで、適切に対処することができます。
それでも返金に応じない場合、都道府県の宅建業法を所管する窓口や国民生活センターへ相談する姿勢を示すことが有効となります。
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