10月20日、モバイルSuicaにコード決済サービス「teppay」が加わりました。
翌21日には、鹿児島のキャッシュレス決済アプリ「Payどん」で、市電・市バスの運賃を払えるようになり、始まったのは別々のサービスではあるのですが、向いている方向は対照的。
交通のためのアプリが高額な買い物や家族への送金へ進み、地域の買い物アプリは公共交通へ入りこんでいき、これまで用途ごとに分かれていた決済アプリの役割が、両側から重なり始めています。
交通費と買い物代が同じアプリに入る
JR東日本が始めたteppayでは、モバイルSuicaアプリから2万円を超える買い物ができるようになり、本人確認を済ませると、teppay残高による決済額は最大30万円となり、Smart Codeに対応する全国170万か所以上でも利用することができるように。
金額の上限が上がったこと以上に、注目したいのは、買い物、送金、鉄道利用が同じアプリ内でつながったことで、teppayでは家族や友人に残高を送ったり、受け取った側がモバイルSuicaへのチャージや定期券などの購入に使えることができるように。
定期券の購入、子どもへの交通費の受け渡し、2万円を超える買い物が、別々の決済手段を用意せずに済むようになったのはかなり便利。
これまでSuicaは、交通と少額決済を行うことができたのですが、これにteppayが加わったことで、利用者がまとめられる支出の範囲は、日々の乗車や少額の買い物、そして定期券、家族への送金、高額な買い物へと広がり、決済アプリを選ぶ基準も「この店で使えるか」から「移動と生活費のどこまでを一つにできるか」へ変わっていくことでしょう。
地域の買い物アプリが乗車券になる
鹿児島では、この動きとは反対方向の変化が起きていて、鹿児島市交通局のPayどん交通系決済は、10月21日から市電・市バスの全車両で利用することができるようになり、乗るときと降りるときにアプリのコードを車内端末へかざして運賃を払い、決済額の0.5%分がPayどんポイントとして還元されるのだとか。
こちらは地域の買い物に使う決済アプリが、日々の移動へ用途を延ばした形で、teppayが交通から買い物へ進み、Payどんは買い物から交通へ進んでいます。
利用者から見れば、どちらも、交通費とそれ以外の支出を同じ残高やポイントで扱えるような仕組みが増えているわけですね。
だからといって、二つのサービスが相互に接続するわけではなく、共通しているのは、交通用、買い物用という区分に沿ってアプリの使い分けが必要だったものを、それぞれ異なる地域と仕組みで変えたこと。
ポイントが「いつ乗るか」まで決め始める
11月に予定されている施策を見ると、用途の統合が利用者の選択へどう働くのかが、さらに具体的になり、teppayは11月2日に全国テレビCMを始め、11月4日から500円以上のコード決済に20%相当を付与するキャンペーンを予定しています。
鹿児島県と鹿児島市は11月9日から、Payどん交通系マネーで対象バス路線を利用した人へ、運賃の半額相当を後日還元するようで、対象になるのは、平日の午前9時から午後4時と土日祝。
この施策では、決済方法と利用時間帯がセットになっています。
ポイント還元は、買う商品や店を選ぶ理由として使われてきたのですが、時間帯を限定したバス運賃の還元では、同じ仕組みが「いつ乗るか」を選ぶ条件にもなってきます。
急いで移動する必要がない人にすれば、混雑する時間をあえて外す理由に運賃還元が加わってくるのですから、人の流れも変わってきそうですね。
家族へ送った残高を交通費に回す。通勤に使うアプリで家電を買う。地域の買い物アプリで、還元対象の時間にバスへ乗る。
こうした選択が続けば、決済アプリは支払う瞬間の道具から、移動と支出をまとめる道具へ近づいていきます。
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